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帰国しています

帰国しました!そうそう、日本の寒さはこういうジメっとした感じやったなぁとか思いながら過ごしております。ヨーロッパのカラっとキリっと寒い感じとは全然違います。

うちの実家は田舎の築年数相当の家なので、隙間風が…寒い!凍える!なんて文句を言うと、だいたい母親が、ほなあんた新しいの建ててよとか言い出しそうなので言いませんが!

さて帰国してから関西でリハーサルとレッスン三昧。

ここ数年高校生の生徒も教えてるんですが、その中で先日前後でレッスンに来ていたM美ちゃんとT子ちゃんの話…
この二人の歌を聴いていると、あー未来って無限なのねと思います。自分もこういう時期があったなぁと。

ある日、ものすごくおっとりして口数の少ないM美ちゃんが、めずらしくやや興奮しながら、

先生、あたし、この人みたいな声になりたいです!

と。差し出してきたCDはコントラルトの大御所ナタリー・シュトゥッツマン。
でも高校2年生のM美ちゃんはこれからどんな進化を遂げてもたぶんソプラノだと思います。

そう、歌をはじめた頃、こんな歌がうたいたい。こんな声になりたいと多くの人が思うでしょう。
でも残念ながら人の声は声帯や骨格によってある程度の《声種》に分類されてしまいます。ソプラノがコントラルトになるのはちょっと難しい。

スーパーコロラトゥーラソプラノの友達が昔言っていました。
あたし、歌いはじめたとき、30代で蝶々さん歌いたいと思ってたんだよね。
って。でもそれが無理なことなんだと気がついたのはつい最近なんだと。

オペラという分野においては、色々ある役柄はそれに合った声の人たちが歌うわけで、合わない役は声を早くに失う原因になってしまうんです。
発声の正確さとかそういうテクニック面がうまくいってても、軽いソプラノが重く低い音域のコントラルトの役柄を歌うのは大変難しいことですし危険です。神様から与えられた楽器は変えられないし、それを育てて進化させていって最終的な声を手にするわけです。

この話をM美ちゃんにすると…

うーん。よくわかりませんが、あたしシュトゥッツマンさんになれるようがんばります!
って…笑

勉強を進めていくうちに彼女もたくさんのことを学び、声に敏感になり、表現したいことも増えてきて、僕の言っていた意味がわかるときがくるでしょう。
それより僕は〝シュトゥッツマンさん〟のおかげで彼女が俄然やる気になってくれたことのほうがうれしかった。コントラルトにはさせられないけど、長く歌っていけるように良いお手伝いをしたいものです。

かたや高校一年生T子ちゃん。
M美ちゃんは柔らかい声の清楚なソプラノでとても綺麗な素材を持っていて、T子ちゃんは嘘みたいに深い声のメゾ。若いのに!まだ16歳くらいやのに!

M美ちゃんの件もあったので、T子ちゃんに、あんた将来どんな歌手なりたいの?と尋ねると…

そら、ちあきなおみ!!!

即答でした。高校生でちあきなおみを知っていて、ハマっている。末恐ろしい…笑

ご縁があって今何人か高校生を教えてますが、皆んな個性的で本当におもしろい。

はじめはなかなか話もしてくれなかった子も、今ではキラキラした目で学校での話や友達の話、あるいは恋バナなんかをしてくれて、みんなそれぞれに高校生活を楽しんでるのがよくわかる。
その中で、歌は彼女たちの良いエッセンスになっていて、歌うことが生活の一部になりつつある。
それってとても素敵なことです。歌うことが人生の傍に常にあってくれたらなぁと願う今日この頃。

さてさて、人のことばっかり書いてましたが、自分のコンサートもきっちりがんばってます!笑

まず昨日は京都の小劇場、カフェモンタージュさんでオールパーセルプログラムでした。
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ここを愛しているお客様は、本当に音楽を高い集中力で聴いて慈しんでくださいます。

パーセルはものすごく難しい作曲家です。
どこまでも繊細、どこまでもドラマティック。その2つが混在していて、声と感情をコントロールするのはなかなか大変です。

僕自身とても幸せな時間でした。

最後に歌った嘆きの歌。もう会うことのない人のことを嘆き悲しみながら歌う曲。あまりよくないことですが、僕はこの曲を歌うとどうしても父のことが思い出されてうまく感情がコントロールできません。はじめてこの歌を歌ったのは父の癌告知の一ヶ月後のことでした。
昨日もかなり感情的になって、あんまりよくなかったかなぁと思ったけれど、その僕の感情をお客様はみなさんオープンに受け止めて聴いてくださっていたように思います。

共演の三橋桜子さん、実直で大変流麗な音色でたくさんのインスピレーションを与えてくださいました。良い演奏家とご一緒させていただけてリハーサルから楽しい時間でした。

ご来場くださった皆さんに心から感謝します。

さて、今日は明日の大阪・フェニックスホールでのバッハのコンサートに向けてのリハーサルです。JRすげー人…紅葉シーズンの京都は通過するのもしんどいです。

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よかったらお出かけください!バッハの名曲たちとレクチャーをお楽しみいただけます!

なかじ

by musiccreater_tn | 2017-11-18 12:45 | 演奏会 | Trackback | Comments(0)

関西出身、高カロリーな食べ物が大好きな声楽家・カウンターテナー中嶋俊晴の日常と思いつきを綴るブログ!


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